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CEDEC
執筆者:小笠原 タグ: サウンドクリエイター

CEDEC2022を振り返って サウンドセッション編

©HAL Laboratory, Inc. / Nintendo

みなさん、こんにちは。サウンドの小笠原です。
8月に行われた「CEDEC2022」というイベントで、講演を行ってきました。

CEDECとは、ゲームを中心とするコンピュータエンターテインメント開発に携わる方々が参加し、「日頃の開発で得た知見を共有し、業界全体で技術を高めあっていきましょう!」という目的で毎年開催されている、大きな勉強会のようなイベントです。

今年はなんとハル研から4つのチームが講演を行いました。
そのひとつである私たちサウンドチームは、
『星のカービィ ディスカバリー』 カービィらしさを継承し、再構築したサウンド表現
というタイトルで講演しました。

今年で30周年をむかえた「星のカービィ」ですが、今年3月に発売された『星のカービィ ディスカバリー』は、これまでの2Dアクションから3Dアクションへと大きく変化しました。
今回の講演は、『星のカービィ ディスカバリー』において、サウンド面でこれまでのカービィらしさを継承しながらどうやって今作ならではの音に進化させていったか、BGMや効果音、3D空間での音の鳴らし方など、音にまつわる様々な観点からの例を紹介する……といった内容でした。

(講演資料はこちら。CEDiLに無料登録するとダウンロードできます)

ちょっと話が横にそれますが、サウンドチームがCEDECで講演するのは初めて……ではないんです!
実は、CEDEC2010での「オーケストラ録音を首尾よく!」という酒井の講演が、サウンドチームとしては初の講演でした。(つまり、今回は12年ぶりの講演となります)
この講演はゲーム音楽を生演奏で表現する際のノウハウをまとめた内容でした。
このような酒井の技術は、ハル研内でもしっかり継承されていて、先日開催した『星のカービィ 30周年記念ミュージックフェス』でも、その技術を最大限に活かすことができました。(詳細はこちらのブログで)

もちろんゲーム開発においても同様に、先輩クリエイターたちから日々の業務を通してたくさんの技術を学んでいます。
しかし「カービィらしいサウンド」というのは感覚的な部分が多く、なかなか言語化されていないというのが現状でした。
私たちを含むこれからのサウンドチームでも、今まで大切にしてきたハル研らしい、カービィらしい音作りを継承していく必要があるなぁ…いつか言語化してまとめたいなぁ…と考えながら『星のカービィ ディスカバリー』を開発していたので、開発が落ち着いたタイミングで、改めてしっかりとまとめてみよう!まとめたら社内で共有しよう!そして、せっかくなら業界を盛り上げる一助になるように発表できれば!という流れで、CEDEC2022への応募を決めました。

カービィらしいサウンドには「ゲームを面白くする」という考えが中心にあるので、講演の発表内容もなるべく多くの方に「面白い」と思ってもらえるようにしたいと考えました。
そのためサウンド以外の方にもなるべくわかりやすく、サウンドに詳しい方にはしっかり満足してもらえるようなバランスになるように調整していきましたが、そのさじ加減がとても難しかったです。
一緒に講演したサウンドクリエイターの下岡とエンジニアの根本と協力し、発表の順番を調整したり、内容の取捨選択を行ったり、なるべく映像や音を多くしてわかりやすくなるように動画を編集したり…と何度もディスカッションしつつ進めていきました。

また「カービィらしいサウンドとは…」を考えるにあたって、先輩クリエイターに何度もインタビューさせてもらったり、考えをまとめてもらったりして、そこから中心にある「ゲームを面白くする」という考えを抽出していったのですが、この作業もなかなか大変でした。

もちろんこれらの準備と並行してゲーム開発を行っていきますので、それぞれスケジュールなどを調整してもらいつつ、業務のバランスをとっていくのも大変でした。

なんだか大変な話ばかりになってしまいましたが……頑張った甲斐があって、CEDEC講演後にサウンド関係の方が集まるオンラインでの交流会ではたくさんの反響をいただくことができました。
また、他の職種の友人からも「面白かった!」と感想をもらい、多くの人に楽しんでもらえたという手応えを感じています。

最後に個人的な話ですが、ハル研に入社する前の学生の頃から、CEDECに登壇して大好きなゲームの「音の価値を高める」ことに貢献したい!というのが夢の一つだったので、今回リードサウンドを担当した『星のカービィ ディスカバリー』でそれが実現できたことがとても嬉しかったです。

以上、サウンドチームの講演についてのお話でした。
冒頭でも触れたように今年は4つのチームが講演しました。
他のチームのブログもこれから掲載予定ですのでどうぞお楽しみに!