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仕事内容
執筆者:神山 タグ: ディレクターゲームデザイナー

GDC 2023で講演を行いました

エキスパートディレクターの神山です。

『星のカービィ ディスカバリー』では、プロジェクトをまとめるディレクターを担当しました。
この開発で得た経験について、3月にサンフランシスコで開催されたGame Developers Conference(GDC)2023にて講演を行うという、貴重な機会をいただきました。

さて、GDCとは、ゲーム開発者やツール開発者、さまざまなメディアなど、ゲーム業界に関連する人々が集まって交流する世界的なカンファレンスです。
新しい技術やトレンド、ビジネスモデルなど、ゲーム開発に関するさまざまな講義が行われ、世界中から数万の人が参加します。
日本でもCEDECがありますが、それよりも規模の大きい世界版という感じです。

今回の講演の内容は『星のカービィ ディスカバリー』や『星のカービィ Wii デラックス』の開発で使われた技術や考え方について紹介するもので、私は『ディスカバリー』のパートをお話しさせていただきました。
(『Wii デラックス』や「星のカービィ」シリーズ全体については、一緒に登壇したゼネラルディレクターの熊崎が話しました)

『ディスカバリー』には、カービィというタイトルに求められる「間口が広く奥深い」を実現するために、さまざまなシステムが入っています。
例えば、任天堂ホームページの「開発者に訊きました」でも紹介させていただいた、攻撃が当たって見える時は当たったことにする機能や、プレイヤーの遊びやすいゲーム体験を保障するためにレベルデザイナーが事前に指定するカメラなど、ゲームを遊ぶだけでは分からない独自のシステムについて、その仕組みを紹介させていただきました。

講演で使ったスライドでは、開発用のデバッグ機能を用いて、実際の商品では見ることができないアングルからも動画や画像を撮影し、ぱっと見でも理解しやすいように説明しています。
動画をふんだんに使ってスライドを作成したので講演の準備が大変でしたが、こういったプレイヤーを影で支えるさまざまな努力が、今回このような形で日の目を見るのは嬉しいことです。

©HAL Laboratory, Inc. / Nintendo

また、GDCはサンフランシスコで行われるので、講演の内容は当然英語になります。
ですが、私は英語が話せません…。
今回は日本語で作成したスライドの英訳、当日の通訳など、任天堂関係者の協力も得ながらセッションを行いました。

翻訳といっても日本語と英語ではいろいろと違うところがあり、日本語では短く表現できても英語では長文になってしまうことがよくあります。
現地に着いてからもNOAの翻訳スタッフと細かなニュアンスをすり合わせて、前日までスライドや翻訳の調整を行いました。

講演当日は本当に人が集まるのか不安でしたが、講演を行う部屋には開始前から多くの方が並んでくださり、広い会場いっぱいの方にご参加いただけました。
講演中も、スライドの盛り上がりのポイントで声が大きくあがるなど、海外らしい反応が随所であり、手応えを感じられて嬉しかったです。

講演の後は、そのまま現地メディアの取材がありました。
3社の取材があったのですが、まさに三者三様。
それぞれ取材する記者の独自性が表れていて面白かったです。
個性が光る質問に、しっかり向き合って答えさせていただきました。

講演と取材が終わった安心感と心地よい疲れで、時差ボケで現地ではなかなか眠れない日が続いていたのですが、その日はぐっすり眠れました。

世界で通用するモノを作る。
ハル研究所に入社すると当然のように求められますが、今回この意味を体感できたように思います。
世界には驚くような技術、規模感で作られた壮大なゲームタイトルがたくさんあります。
これらのタイトルが並ぶ中、お客様に私たちが作ったタイトルを選んでいただく。
そのためには、最新技術や業界の動向を把握しながらも、ハル研究所らしい、プレイヤーのことを第一に考えた丁寧なモノ作りが大切だと、あらためて思いました。

特にディレクターは、映画でいうところの監督脚本にあたる、責任が問われる仕事です。
目指している方向へ、最高のクオリティーでたどり着くことが求められます。
今回、このような大きなイベントで世界の空気を感じられ、気持ちを新たにすることができました。
より一層身を引き締めて、これからも頑張っていきたいと思います。