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仕事内容
執筆者:川原 タグ: デザイナー

ゲームやグッズのアートワークを作る仕事

こんにちは。グラフィックデザイナーの川原です。
今回は、「ゲームの中のデザイン」ではなく、「ゲームの外のデザイン」の仕事を紹介したいと思います。

私はゲーム開発部署ではなく、ブランドマネジメントを担当する部署に所属し、ゲームパッケージのアートワークやキャラクターグッズに使われるイラスト素材など、「ゲームの外のデザイン」を多岐にわたって担当しています。

そもそも、ブランドマネジメントとは、どんな仕事をしているのか…?
ゲーム会社としてのハル研に興味を持たれた方には、「ブランドマネジメント」という言葉だけでは具体的に何をしているか、あまりピンとこないかもしれませんね。

私たちの部署では、カービィなどのキャラクターについて、キャラクターそのものの魅力や楽しさを皆さんに届けるため、様々な取り組みを進めています。
たとえば、この先の施策で誰にどんな印象のカービィを届けたいかを考えてイメージを膨らませたり、グッズやキャンペーンを展開してくれるメーカーさんとの契約を結んだり、契約が決まったメーカーさんが企画した国内外のあらゆるグッズを監修したり、などなど……。
デザイナーもこれらの業務との連携が欠かせません。

「星のカービィ」30周年のメインアートワーク
©Nintendo / HAL Laboratory, Inc.

ご存じの方も多いと思いますが、今年、「星のカービィ」は30周年という大きな節目を迎えました!
ゲームのリリースはもちろん、30周年のために制作したアートワークも大々的に展開されて、これまでにない数のグッズが日本全国のお店に置かれています。

この、30周年のメインアートワークには、ブランディング担当者によって練られたコンセプトがあります。
それは、カービィをより身近に感じてもらうため、「お気に入りのカービィ、お気に入りのピンクを見つけてもらう」というものでした。
このコンセプトに沿って、30種類のカービィとその集合イラストを制作しました。

カービィ30周年のうち、気がつけばその半分以上をハル研社員として過ごしてきた私ですが、「30種類・30色のそれぞれ違う表情のカービィ」を表現するには、これまで関わってきたカービィタイトルへの思い入れや知識だけではカバーしきれないところがあり、あまり詳しくない過去作について掘り下げるなどして、新たなカービィの一面を発見しながらの作業となりました。

すいこみ、ホバリング、ダッシュなどの、定番の動きは押さえつつ、まんぷくで歩いているカービィ、目を丸くして走り回っているカービィ、目を回しているカービィ、ボールになったカービィ、くちうつしの時の顔!?…などなど、新鮮な見た目のものを積極的に提案しています。
最近カービィに注目してくださった方には意外で表情豊かに映り、元ネタを知っている人にはニヤリとしていただけるものになったのではないかと思っています。
色の設定も、30種類のカービィのテーマに沿って、絶妙に違うピンクを試行錯誤しながら揃えました。

というのも、彩度を少し下げたピンクを並べるとカービィが具合悪そうになってしまうし、濃い色や薄すぎる色、紫やオレンジ寄りのピンクは、カービィの色の範囲から外れてしまうからです。
テーマに沿いつつ、カービィの色として無理のないピンクの範囲を何週間もかけて見極め、無事に30色のカービィが誕生しました。
そんな経緯でできたアートを、今年はいろいろなところで目にすることができて本当に良かったです!

「Kirby 30th Anniversary Music Fest.」のアートワーク
©HAL Laboratory, Inc. / Nintendo

このほかにも、今年は「Kirby 30th Anniversary Music Fest.」や「ホロスコープコレクション」のアートワーク制作など、グッズ・施策向けアートワークだけでもたくさんあるのですが、カービィの新作ゲームも2本リリースされ、さらに来年2月にも1本リリースを控えています。
これらのゲームのメインビジュアルやキャラクターイラスト、ロゴ等も、私たちの部署のデザイナーが担当しているんですよ。

「ホロスコープコレクション」の下絵
©Nintendo / HAL Laboratory, Inc.

アートワークというのは、1枚の絵で伝えたり印刷向けのノウハウが関係してくることもあったりと、ゲームとはまた違った専門知識が求められます。
今は3Dのアートワークがメインなので、ゲーム中のモデルを活かして高解像度で出力し、レタッチするものが多いです。
2Dイラストを作るのとはまた別のスキルが必要なので、3Dアートワークを作る時はちょっと頭の切り替えが必要です。

ゲームのアートワークは、お客さんにとって最初に目に触れる情報になることが多く、駅貼りの大きな広告にアートワークが使われたりと、最初のイメージを印象付けるものになるので、内容が伝わりやすくロゴもきちんと視認できる、魅力的なものになるよう取り組んでいます。
通常、開発チーム・広報に提案や相談をして方針をまとめ、決まったら分担して仕上げていきます。

また、ゲームには必ず新しい要素やアップデートされた要素などがありますが、ゲームを遊ぶ前のお客さんがまだ体験していないことを、イラストでどんな風に伝えよう?という点は毎回工夫しています。
そのためには開発中のゲームを遊んで自分で体感し、どんな狙いを込めているかを聞かせてもらうなど、開発チームとのすり合わせは欠かせません。

そうして制作し完成させたものは、HPで公開されたり、紹介動画に散りばめられたり、様々な使われ方をします。
時には予想外に大きく引き伸ばされて印刷されることも…そんな時はうれしいですがアラが残っていないか心配になるので、できるだけ丁寧にブラッシュアップしています。

ゲームをパッケージして届けるという意味では、私たちもゲームプロジェクトのメンバーですが、一方で毎回ゲームを楽しみにしているファンのような側面もあり、このゲームの魅力をなるべく多くの人に伝えたい!と考えながら、ゲームのアートワーク制作に関わっています。

「ゲームの外のデザイン」はこんな風に様々なアウトプットを求められる仕事ですが、担当したものが世の中に出ていった時に目にしやすく、お客さんの反応も直に感じられるところ、また様々な人との協業を通じてキャラクターを盛り上げられるところに大きなやりがいを感じます。
これからも様々なものを届けていく予定ですので、お楽しみに!

このブログを読んで「デザイナーで、こんな職種もあるんだな」と興味を持ってくださった方がいたら、一緒にお仕事できるとうれしいです!
読んでいただき、ありがとうございました。