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CEDEC
執筆者:ファーマン タグ: デザイナーアーティスト

CEDEC2022を振り返って アートディレクション編

©HAL Laboratory, Inc. / Nintendo

こんにちは!
エキスパートアーティストのファーマンです。

8月に行われたCEDEC2022にて、『星のカービィ ディスカバリー』リードフィールドアーティストの森下と共に講演を行いました!

CEDECとは簡単に言うと、大規模なゲーム開発者向けの技術交流イベントです。
私も今まで何度も参加しており、たくさんのセッションの中から自分にとって参考になりそうなものや、単純に興味が湧いた面白そうなものを受講し、刺激を受けたり仕事に活かしたりしてきました。

今までは講演を聞く側の立場しか経験してきませんでしたが、今年は、私がアートディレクターを務めた『星のカービィ ディスカバリー』が無事、世に出た年です。
もし自分がCEDECで何かを発表するとしたら…今年こそ絶好のチャンス!ということで、『星のカービィ ディスカバリー』のアートセッションとしての登壇を立候補しました。

立候補しておいてなんですが、いざ発表内容をちゃんと精査し始めると、内容が『ディスカバリー』のビジュアル面全般だと分野が広すぎるので内容を絞る必要が出てきたり、「はたして同業者が聞いてためになるような内容になっているかな?」とちょっと不安になったりしてきました…。
そこで、私たちが「『ディスカバリー』の開発でこそ経験できたことをシェアする」ということに重きを置くことにしました。
『ディスカバリー』は、星のカービィ本編シリーズ初の3Dアクションです。
今や3Dアクションゲームは全く珍しいものではなくなっていますが、だからこそ「はじめての3Dゲーム開発」という内容のセッションができるのって、けっこうレアなのでは?と思い、テーマのひとつを「アクションの3D化による変化」にすることにしました。
ずっと2Dアクションを作ってきた我々が直面した3Dの課題は『ディスカバリー』ならではの経験ですし、遊びやすさのためにこだわった部分などはどんなジャンルにも共通する部分があるのではないかな?と思い、聞いてくれた方が持ち帰れるものがあるのではないかと考えました。

他にも紹介できるネタがないか思い出そうとしたのですが、すでに記憶が遠く…。
CEDECの発表内容を考え始めた頃は、もう既に別の、とあるグルメなプロジェクトの開発真っただ中だったので、ケーキやアイスクリームでいっぱいの頭の中を『ディスカバリー』に切り替えて並行作業するのはなかなか大変でした。
『ディスカバリー』を起動して遊びながら、他にも発表できそうなネタはなかったかな…と開発中の記憶を呼び起こしたり、チームメンバーに「あのネタ、紹介しないの?」と言われて「確かに!あれ苦労して入れたんでした!」と思い出したり。

ゲーム開発中に「もっとこうしたかった!」「次はこうしたい!」というものは忘れることなく常に頭の中にあっても、めでたく達成や解決できたようなことは、怒涛の開発期間の中で意外と記憶から薄れてしまうものですね。
また、発表内容をまとめていく中で、ゲームを作る上で大事にしていた部分を再確認できたのは良かったです。

本番では、チャットでの質問に答えられる時間がなかったのが心残りでしたが、なんとか発表を終えられて一安心でした。
セッションを見てくださった方、特に同職種の方の反応が見られると嬉しいものです。
これからの開発のヒントや刺激になるようなことが得られた!と感じてくださった方が1人でも多くいればいいなと願っています。

なお、今年のCEDECでは私たちのアートセッションを含め、ハル研から『ディスカバリー』を切り口とした4つのセッションを発表しました。
同じゲームを作っていたチームメンバーなので、やっていることはお互いに分かっているのですが、職種が違ってくるとどうしても、成果物に表れにくい部分や専門的な部分は深くは知らないこともあります。
ハル研の他のセッションを見ると、「へー、あのために裏でこんなことやってたんだ!」とか「そんなことを考えていたのか!」という発見がいくつもありました。
身内ですらこんなに発見があったので、CEDEC全体でいろいろな会社や職種で情報をシェアし合えることって本当に良いことだなと、改めて思えました。

…ちなみに!
セッションの資料はCEDiLにてご覧いただけます。
「『星のカービィ ディスカバリー』 シリーズ初の挑戦 3Dアクションと現実世界との融合を実現したアートディレクション」の資料はこちら
内容はそこまで専門的な用語なども使っていない「甘口」となっておりますので、ゲーム開発者でなくとも『ディスカバリー』を遊んでくださった方やゲームに興味がある方ならどなたでも「へー!」と楽しんでもらえるんじゃないかな、と思います!
見逃した!興味がある!という方は、ぜひご覧ください。

それでは、ありがとうございました。