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CEDEC
執筆者:加藤 タグ: プログラマーエンジニア

CEDEC2022を振り返って プロシージャル地形生成編

©HAL Laboratory, Inc. / Nintendo

こんにちは。エンジニアの加藤です。

この度、CEDEC2022にて「『星のカービィ ディスカバリー』 プロシージャル地形生成への取り組み」というタイトルで講演を行いました。

初めての講演で非常に緊張しましたが、準備や当日の講演など、普段の仕事とは少し違った活動となり、とても新鮮な体験となりました。

講演の内容は『星のカービィ ディスカバリー』の地形をどのようにして作ったか、というものです。
2Dアクションゲームから3Dアクションゲームへの移行に伴い地形モデル生成の自動化が求められ、多少泥臭い方法ではありますが、自動生成を実現しました。
講演を視聴してくださった方の何かの参考になったならば幸いです。
(講演資料はこちら)

さて、今回のハル研ブログでは、講演の準備や当日の話を簡単に振り返ってみたいと思います。

始まりは2021年9月の社内公募からでした。
毎年、自薦だったり他薦だったりとやり方は異なりますが、今回は社内公募という形式でセッションの募集が始まりました。
せっかくの機会なので応募したところ、社内の運営チームから採用の連絡がありました。

翌年2月ごろからCEDECに応募するための資料を作り始めました。
この応募では「講演の詳細がわかる資料」を提出する必要があり、実際に作るスライドやその構成を意識しながら、具体例を交えつつ資料を作成して応募しました。

無事CEDEC事務局から採択され、6月ごろからスライドを作り始めたのですが、この作業が思った以上に大変でした。
2月に作ったテキストの資料をスライド化するだけだと思っていたのですが、実際にスライドにしてみると、スライド間の流れが不自然だったり、話のテンポがちぐはぐしていたり、そもそも延々とやったことを述べていくだけで話に起伏がなかったり、悪いところが次々に見えてきました。
この時、スライドを作る難しさを痛感しました。

これには、一度、伝えたいことをとにかく全てスライドやノートに載せ、その後、全体のバランスを見ながら不要なものを引いていくという方法で対処しました。
一旦機能(伝えたいこと)を実装し、その後リファクタリングで全体を整えていく流れは普段のプログラミングと近い部分があるかもしれません。
その後、アニメーションや細かな文章の調整を行い、なんとかスライドが完成しました。

講演当日、ここまで来たら後は噛まずに発表するだけです。

ただ、質疑応答をどうするかだけ、ギリギリまで考えていました。
今回1人で話す講演だったので、ずっと1人で喋っているとどうしても話が単調になってしまいます。
そのため、できればどこか途中のタイミングで一区切り入れたいと考えていました。

そこで前半と後半の境目のタイミングで質疑応答の時間を挟み込むことにしました。
これによって単調さが多少軽減されたのではないかと思います。
ただ、その影響で時間が押してしまい、最後の質疑応答は時間が取れませんでした…。
質問をしてくださった方々には申し訳ありません。

そのような感じで、いくつかの反省点はありつつ、なんとか今回の講演は終わりました。
もし次の機会があれば、今回の反省点を踏まえた、よりよい講演にしたいと思います。

最後に、講演中のコメントや講演後にたくさんの感想をいただきました。
「わかりやすかった!」「やってみたい!」というコメントはもちろん励みになりました。
また、「ここは大変そう」「こうすると良さそう」というコメントもとても参考になりました。

『星のカービィ ディスカバリー』の開発当初、「こういうことがやりたい」という目的があり、その実現方法を手探りで検討するところから始まりました。
チーム内でいくつかの検討を行うのですが、そこで出てくる案は一定範囲内のものになります。
CEDECなどの講演の主目的は、基本的には、社内の開発で培ったノウハウを社外へ共有することだと思いますが、情報を発信することで他の方から情報を得ることができる、ということも今回改めて感じました。

良いゲームを作り、そのノウハウを発信し、新たな知見やメンバーを得て、更に良いゲームを作る、といった好循環に繋げていきたいと思います。