このブログでは少しお久しぶりでしょうか。
皆さん、こんにちは!
Nintendo Switch™ 2 ソフト『星のカービィ ディスカバリー Nintendo Switch 2 Edition + スターリーワールド』のゼネラルディレクターの熊崎です。
このシリーズ最終回は、ゼネラルディレクターの仕事についてご紹介させていただきます!
今作では、『星のカービィ ディスカバリー』の世界に謎の流星が飛来することで、かつての世界は変貌します。
Nintendo Switch 2のハードの性能を活かし、その変貌をより高画質に、より遠く建物の先まで冒険できるようにと、美しさとダイナミックな遊びが融合した、新しい『ディスカバリー』となりました。
もう20数年はゲーム開発をしておりますが、やっぱり毎作とってもたいへん!です。
どうしてでしょうね、ホントに。
この仕事はとても刺激的で、とても達成感のあるモノづくりなのですが、どれだけノウハウやデータベースが充実しても、毎回作るべき内容、ハードやスケジュール、テーマや遊びも異なり、必ず未知なるモノづくりになります。
開発スタッフも増え、期間も長期化する中、ゼネラルディレクターはその全体を俯瞰してみて、限られたリソースで効果的な案を考え、皆の意見も聞き、納期、予算、クオリティ、お客さまのニーズなど、相反する部分と葛藤しながらも、チームをゴールに導くのが仕事になります。
また、年々開発の規模も大きくなり、1人で複数のタイトルの監修をすることも通常となり、そこもたいへんです。けれどやるしかありません!
もうとにかくすぐチェックする、すぐ遊ぶ!気づいた課題は口頭やチャット、メールなどを駆使してフィードバックします。それも即座にです!
業務が立て込んでいると、返信までの間が空くときもありますが、チームや関係者の皆さんにご迷惑をかけないよう、とにかくスピーディに回答を行います。
これはディレクター業の基本だと考えています。
ハル研究所では、自分たちが作るゲームを「作品」と呼んでいますが、実際には「製品」になります。
ですが、グッとくるプレイ体験のためには、遊び心や感情に響く要素もどこかに必要です。
世界の奥深さを演出することで、アクションするボタンを押す気持ちにも何かが宿ることもあるのではとも考えています。
ただ、私の仕事のほとんどはアクションなど、いわゆる遊びの調整、監修になります。
そんな開発作業の中でも少々のスパイスとして、世界の深みを感じられるような仕様作成、設定文などの執筆も行います。
プレイの時、攻撃ボタンや前進するキーを押す力にも、グッと来るものが生まれればと願ってのことです。
もちろん、こういった遊び心は人それぞれの楽しみ方がありますので、全面には出さない工夫として、見ようとすることで見られる、奥深い部分に置く工夫をします。
例えばクライマックスの奥地にのみ置かれた、古代の朽ちた乗り物や、夢の跡のような遊園地のデザインは宇宙への旅へ皆を導く象徴と見えるよう、デザインされています。
レベルデザインとして完成させた上で、その世界で生きようと残った人や旅立った人との別れも表現したりもします。
他にも「ガチャルポン」のフィギュアの説明文、歌詞やセリフ、曲名などの執筆作業でも表現します。
読み飛ばしても問題ないように執筆しつつも、今作の個性の1つとして、全体を把握した上で書いていきます。
なかなか執筆時間が取れないのが難点ですが、なるべくスピーディに行います!
また今作も、異世界言語で歌われているエンディングテーマと、歌声はなく、曲と歌詞のみ存在する「謎の歌」の2曲の歌詞を書きました。
異世界言語で書く歌詞も増えたため、言語の整合性に苦慮しましたが、『ディスカバリー』で決めた法則があったので、はかどりました。
この世界に存在した歌姫の切ない本心や、かつて起きた出来事を想像していただきつつ、歌によって引き寄せられた流星にまつわる切ない物語をアクションと共に楽しんでいただければと思います。
クライマックスの戦闘曲もインタラクティブに曲が変わる要素を取り入れつつ、こちらも「歌声」がテーマになっています。
ぜひプレイしお聴きいただければと思います!
そんな歌たちは「町かどワドライブ」でも聴けます。
その歌の1曲は、新しくサウンドチームで活躍し、今作のリードサウンドの1人である加藤が作曲しています。
彼の作った「流星のビーストバトル」は、『ディスカバリー』のシステムをうまく引き継ぎつつ、さらに異世界言語の歌のメロディも取り入れており、新たなインタラクティブミュージックに仕上がっています。
またカービィのボイスも本作の雰囲気に合わせ収録しております。
音でも文字でも絵や動きでも、それぞれのセクションのリーダーと共に、より世界に深みをもたせる努力を続けていくのです。
ゼネラルディレクターの仕事としては、本作で求められているテーマを最大化することもあります。
『星のカービィ ディスカバリー』の世界は文明が緑に覆われてしまった、つまり普通の状態からすでに変化した世界になります。
その、前ハードのNintendo Switchの性能を最大限活かし作られた変化というテーマにも、よりパワーをかけられるようになりました。
より「美しい世界」にしつつ「より広い範囲」を冒険して欲しく、その上でまだ実現できていない遊びを考えていきます。
新世界にはかつて、何かが降り注いできた痕跡がありました。
それはどんな形?どうやって?そんな古代の事件の片鱗を感じさせながら、アクションの舞台を描きます。
加えて、これまで見えていたビルの向こう側や海の底には何があったのか?と、見慣れた世界の変貌も楽しめるようにと考えられたのがこの、結晶化した世界です。
無数のアイディアの中から、限られたリソースで生み出せるものとして、どれが遊ぶ方にとってベストになるか考え、まとめあげるのも大事な仕事の1つなのです。
「星のカービィ」シリーズは、これからもさまざまなタイトルと共に、新しい体験を皆さんにお届けし続けます。
可能性を広げ続け、新たな冒険を描くため、引き続きスタッフ一同頑張ります!
それでは、最後に異世界言語で!
ティラクル ファルナ ルーヴェルノ、ファロ ノアノ リォレ ハァロア!
※翻訳:きらめく遥か流星よ、あの空を超えて ようこそ!
お読みいただき、ありがとうございました!
★『星のカービィ ディスカバリー Nintendo Switch 2 Edition + スターリーワールド』公式ウェブサイト
© HAL Laboratory, Inc. / Nintendo
Nintendo Switchは任天堂の商標です。