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仕事内容
執筆者:N タグ: デザイナー

『星のカービィ ディスカバリー』の仕事 UIデザイン編

© HAL Laboratory, Inc. / Nintendo

はじめまして、デザイナー(アーティスト)のNです。

『星のカービィ ディスカバリー』では、UIデザインを担当していました。(みなさん、遊んでいただけたでしょうか?)
「ここのUIがよかった!」と思っていただけたらそれはもうとても嬉しいのですが、「UIは全然気にならなかった!」というのも、実は少し嬉しくもあります。
気にならないことの何がいいのか、についてはこのあとお話させていただきますね。

さて、今回はUIデザイン(UIアーティスト)の仕事をご紹介します。
ゲーム開発では、体力ゲージやポーズ画面、ボタンなど、ゲームを遊ぶうえで必要な情報をプレイヤーに伝えるための表示や操作メニューなどをUI(ユーザーインターフェース)と呼んでいます。
この伝えたい情報を、機能を考えてデザインに落とし込むのが、UIアーティストの仕事です。

…なんだか小難しくて、抽象的な話になってしまった気がするので、具体的な例を挙げてみたいと思います。

『ディスカバリー』では、操作方法が画面上に、その操作を表す動画と一緒に表示されるのですが、私はこちらのUIデザインを担当しました。
まず案を出す前に、UI担当のゲームデザイナーに、ここでプレイヤーに伝えたい情報やその意図を取材します。
ここでの聞き取りが不十分だったり、間違っていたりすると、「伝えたいことはAじゃなくてBだった!」なんてことになってしまうので、慎重に行います。

その後にデザインを考えていくのですが、最初から色や形を決めるのではなく、まずは取材の結果をもとにして、プレイヤー視点で情報の知りたい度合いを考えて、組み立てていきます。
操作方法は知りたいけど…その技がどんな動きをしているのかがわからないと、そもそも技を出そうって思わないかも…じゃあ動画を一番大きく表示しよう、という具合です。
なんだか授業のノートをまとめるときの感覚に似ているな、と思ったりします。

次にようやく、色はどうしようかな、どんな形がいいかな…と考え始めます。もちろん色や形も機能性を考えて決めるのですが、画面全体での目立ち具合を考えたりもします。
『ディスカバリー』は「星のカービィ」本編シリーズ初の3Dゲームということもあって、ステージや背景がとても作り込まれていて見どころもいっぱいですし、キャラクターも前後左右に自由に動けるので、UIデザイナーとしてもやっぱりそちらを見てほしいな~と思うのですが、ゲームですので操作方法がわからないと遊んでいる人は困ってしまいますよね。
なので、UIは必要最低限の情報量、目立ち具合、主張しすぎない色や形、アニメーションがよいかも、とゲームデザイナーとUIアーティスト、プログラマーで相談、検討を重ねて今の形にできあがりました。

こういった目立ち具合の調整も行っているので、冒頭に書きました、UIが気にならないという意見は、“必要な情報がわかりやすく遊んでいる人に受け入れてもらえた” “不自由がなかった” いいUIにすることができたんだな~と感じるのです。

他にも、「ここは情報としてはエリアの名前を出すだけでよいけど、わくわくした気持ちになってもらいたいから、元気のいいアニメーションをつけて楽しい雰囲気を出そう!」など、ゲームUIならではの、遊んでくれる人の気持ちや意欲をかきたてる遊び心のあるデザインになるように、日々試行錯誤しています。

ここまで、UIアーティストの仕事を紹介してきましたが、いかがでしたか?

UIデザインでは情報の整理やわかりやすさなどの機能性も、色や形やアニメーションなどといった見た目の良さも、どちらも大切です。
私はデザインをするときに、そのどちらかが偏ってどちらかが損なわれることにならないよう気を付けています。
そしてなによりも、遊んでくれる人がゲームの世界観と、ゲームそのものを楽しめるUI作りを目指していきたいと思っています。

© HAL Laboratory, Inc. / Nintendo

『星のカービィ ディスカバリー』には、初登場となる「ほおばりヘンケイ」や「コピー能力の進化」などカービィのアクションがたくさんありますし、広大なエリアが広がっています。
それらのアクションの操作説明にもUIが使われていますし、広いエリアを行き来するための便利な機能にもUIが関わっています。
『ディスカバリー』を遊ばれるときには、ゲームを楽しみつつも、ちょっとした便利を支えているUIにもぜひ注目していただけたら嬉しいです。

『星のカービィ ディスカバリー』公式サイト