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仕事内容
執筆者:小川 タグ: デザイナーアーティスト

『スターリーワールド』の仕事 キャラクターアーティスト編

『星のカービィ ディスカバリー Nintendo Switch 2 Edition + スターリーワールド』ゲーム画面

こんにちは!
デザイナーの小川です。
ハル研究所ではデザイナーというくくりで採用募集していますが、ゲーム開発においては、フィールドアーティスト、エフェクトアーティスト、UIアーティストなど様々な仕事があります。

Nintendo Switch™ 2 ソフト『星のカービィ ディスカバリー Nintendo Switch 2 Edition + スターリーワールド』では、僕はキャラクターアーティストを担当しました。
キャラクターアーティストは、主にプレイヤーキャラや敵キャラ、ゲーム中に設置されるギミックやアイテムを作る仕事です。
「スターリーワールド」で新しく登場するほおばりヘンケイ、「かんばんほおばり」は僕がデザインとモデル制作を担当しました。
今回はその制作過程を簡単に紹介します。

仕様確認

デザイン作業に入る前に、ゲームデザイナーが考えた仕様を確認します。
仕様とは、キャラクターがどういった動きをするのか、どういう機能を持っているのかなど、ゲームを構成する要素を具体的に記載した設計図のようなものです。
「かんばんほおばり」はこの時点で「そりほおばり」と呼ばれていて、仕様を要約すると以下のようなことが決まっていました。

  • 雪の上を滑走する
  • スノーボードのようにジャンプできる。
  • スピンで攻撃する。
  • 雪が積もった街中のステージで登場する

また、ゲームデザイナーからは「そり」をほおばって滑走するのだと安直すぎるので、そり以外のものでデザインしてほしいという要望がありました。

デザイン

仕様を確認した後、資料を集めたり、スノーボードやそりが雪上で滑走する動画を見たりしてイメージを膨らませていきます。
そこで、街中にあって滑走できそうなものということで、帰宅途中に目にしたものをカービィがほおばったらどうなるだろう?と妄想したりもしていました。

まず、デザインするうえでの大前提は、仕様を満たせていることです。
仕様を満たせたうえでかっこよさやかわいさ、世界観、機能をより分かりやすく表現するためにどういったデザインにするかを考えます。
こうして出てきた、立て看板案を含むいくつかのデザインをゲームデザイナーとアートディレクターに提案しました。

立て看板の案は、縦長で向いている方向やスピンする様子が分かりやすく、ジャンプに合わせて2枚の板が開いたり閉じたりすることでジャンプができることへの説得力のあるデザインになっています。
そして、他のほおばりヘンケイにはないユニークな形状を意識しました。

仕様を満たせているか、他のほおばりヘンケイと並べたときのバランスや、ステージに置きやすいものかどうか、様々なことを考慮したうえで、最終的にこの立て看板案が選ばれました。
自分の中でも「かんばんほおばり」は推し案だったので選ばれてうれしかったです。

『星のカービィ ディスカバリー Nintendo Switch 2 Edition + スターリーワールド』ゲーム画面

仮モデル作成

デザインが決定したら、3DCGツールで仮モデルを作成し、プログラマーにゲーム内で動かせるように実装してもらいます。
それをゲームデザイナーがテストステージで遊びの実験を行い、最適な大きさや形、モーションを探っていきます。

このフェーズではゲームデザイナーの監修のもと、プログラマーと連携しながら作業します。
みなで調整を重ね、ゲーム中でもっとプレイヤーキャラクターの存在感を増すために、元のものよりもサイズを大きくすることになりました。
また、キャラクターの動きやエフェクトについては、それぞれの担当のアーティストに渡して制作してもらいました。

本番モデル作成

仮モデルで実験を進め、遊びが固まってきてゲームデザイナーからのOKが出たら、モデルをブラッシュアップして製品レベルのクオリティに仕上げます。
かんばんほおばりでは、ほおばったときの口の形状を決めるのに何パターンもモデルを作ってよい塩梅を探りました。
アートディレクターやディレクターのチェックを受け、OKがもらえたらキャラクターが1体完成です!

以上、「かんばんほおばり」ができるまでのキャラクターアーティストの仕事を簡単に紹介しました。
分業化が進むゲーム業界では珍しく、ハル研では一人のアーティストがデザインからモデリング、セットアップまで行うことがよくあります。
最初から最後まで自分の担当物と関わるので、特に愛着がわきますし、自分が関わったものが世に出てみなさんに楽しんでいただけている様子や、ゲームにとどまらずグッズ展開されているのを目にすると、とても喜ばしくやりがいを感じます。

しかし、複数の工程を一人のアーティストが行うということは、いろいろな分野の知識や技術が必要になるということです。
学生のうちから専門的な技術を学ばないといけないのか?と思われるかもしれませんが、ハル研は新人研修が充実しているので、入社後にゲーム作りの技術をじっくり学ぶことができました。
研修後も先輩たちが丁寧にフォローしてくれたので、学生の頃はほとんど3DCGの経験がなかった僕でも、今ではいろいろな工程を担当できるようになりましたし、幅広い分野の技術も身につけられています。
この技術を活かし、さらに研鑽を重ねて、今後もみなさまに楽しんでいただけるゲーム作りができるよう頑張ります。

この記事を通してキャラクターアーティストの仕事がおもしろそう!楽しそう!と興味を持っていただけたら幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!

『星のカービィ ディスカバリー Nintendo Switch 2 Edition + スターリーワールド』公式ウェブサイト

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