こんにちは!サウンドクリエイターの下岡です。
時が過ぎるのは早いもので、ついこの前入社したばかりと思っていたら7年目となっていました…!
世の中的には中堅と呼ばれる歳になってきましたが、まだまだ勉強したり吸収したりすることがたくさんあって、日々楽しみながら仕事をしています!!
今回は『サウンド・オブ・カービィカフェ – Jazz Style -』のアレンジについてお話します。
私が入社して初めてクレジットに名前が載ったのが、前作である『サウンド・オブ・カービィカフェ 2』だったので、6年経って今作にも携わることができて、感慨深い思いがありました。
私が今回制作した楽曲は「流星のリビアングラス」という曲です。
この楽曲は『星のカービィ ディスカバリー Nintendo Switch 2 Edition + スターリーワールド』のストーリーで最後に戦うボスの戦闘曲「いま墜星はラグランジュを貫いて~赫々のテイアは唄に」をアレンジしたものとなります。
いわゆるラスボス曲のアレンジを担当できることが決まったときは、うれしさたっぷりと、お客様が楽しみにしてくれているであろう場所を担当する責任や重圧を感じながらも、それに応えてみせるぞ!と決意が高まりました。
ゲームやカフェのBGMを作るうえで「一番にやる大事な作業」があります。
それはアレンジに使う楽器にするか決めること?かっこいい和音を考えること?
…いえ、「一番にやる大事な作業」とは、「発注者(音楽を必要としている人)のやりたいことや要望」をヒアリングすることです。
なぜなら、プロとして音楽を作る私たちは、「発注者の需要を満たすために音楽を作る必要があるから」です。
音楽を使ってどういうことを実現したいか、どういう商品を作りたいか、といった個性的な表現の部分は、これをしっかり満たしたうえでトッピングしていくものとなります。
本楽曲の発注者である、ゼネラルディレクターの熊崎からは大まかな方向性として、
(1)Jazzの雰囲気は守りながらも、正統派なJazzにこだわらず、各作家のカッコイイ表現を出すこと
(2)全ての形態の楽曲を4分半のメドレー程度に収めること
という2点の発注がありました。
ここからはどのようにして、私がこの発注にアプローチしたかについてお話します。
まず(1)の内容については、発注の内容を普段のゲームでの音楽制作と同様に、「ジャンルや実際の演奏の制約に縛られすぎて、カッコイイと思う表現を妥協しないでほしい」というものだと受け取りました。
そのためこの楽曲では、ベースとなる楽器はサックスやウッドベースなどJazzを基本としつつ、隠し味として「オーケストラヒット」と呼ばれるシンセサイザーのサウンドを混ぜています。
普通のJazzではまず登場することのない音色ですが、原曲の中で非常に効果的でかっこいい場所で使われている音なので、アレンジした楽曲の中でも主張しすぎて「Jazzっぽくない」という印象にならないように気を付けながら、こっそり混ぜています。
またこの楽曲ではJazzの生演奏感を打ち込みで表現するために、エキサイター(特定の周波数を強調して明るい音にするツール)を活用しました。
サックス奏者が顔を真っ赤にして思いっきり息を吹き込んでいたり、ピアノ奏者が髪を振り回しながら鍵盤に指をたたきつけていたりするような、力強く感情が込められた演奏を表現したいシーンでは、特にこのエフェクトを強くかけて、通常の打ち込みだけでは表現できない激しく訴えるような音色を目指しています。
次に(2)の内容として、本作では予定していた楽曲をCDやレコードに収録するために、楽曲の長さが決められていました。(私の担当楽曲は4分半でした)
しかしながら元々の楽曲は概算9分前後、インタラクティブミュージックを行うために作成されたパートを削除したとしても、7分半近くあります。
仕様として与えられた長さを実現するためには、いくつかの部分を断腸の思いで割愛する必要があるのですが、これが非常に難しい作業です。
「楽曲の特に美味しいところ(絶対に削ってはいけない部分)はどこか」「各形態のメドレーを作るときに、楽曲のどことどこをつなげるか」「カフェBGMの1曲としてまとめるときに、どこで展開の緩急をつけるか」
これらを悩みに悩みぬいて、どうしても削れない場所を残してできた楽曲のピアノスケッチ(アレンジを本格的に始める前にピアノで楽曲全体を通した音源)の長さは…5分!!おしい!!!
その後さらにさらにフレーズを厳選して…ついに楽曲が完成しました。できあがりは、ぜひ聴いていただけますとうれしいです。
ここまで、楽曲制作でこだわったポイントなどを書かせていただきました。
サウンドクリエイターとしては楽曲を、カービィカフェの世界を楽しんでくださればとても幸せですが、このブログが「プロとして音楽を届けることに興味があるあなた」にとって楽しいものとなりましたらとてもうれしいです!
それでは、またいつかお会いしましょう!