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仕事内容『星のカービィ25周年記念オーケストラコンサート』を終えて

2017年07月27日:酒井

東京、大阪、そして追加公演、全6公演を無事に終え、心からホッとしている酒井です、こんにちは。
会場で生のオーケストラサウンドを堪能された方、ニコニコ生放送でご視聴いただいた方、本当にありがとうございました。

本コンサート企画の"言い出しっぺ"をしてからの約1年半、振り返るといろいろなことが走馬灯のように思い出されます。
書き出そうとすると、いろんな切り口が出てきます...が、ここは音楽担当として、本コンサートに使われた譜面の制作ばなしに限って、お話ししたいと思います。

ぼくは、コンサートの成否に譜面の出来が大きく影響すると考え、「先ずオーケストラの皆さんが気持ち良く演奏できること」、このことが最大優先事項だと考えました。
カービィの原曲が、このように書かれているから、という理由で、しかめっ面をしないと演奏できないような譜面は極力排除し、オーケストラ奏者が楽しそうに演奏できる譜面、笑顔になれる譜面を心掛けて書いたつもりです。

また、ひとくちに譜面と言っても、このようなオーケストラの演奏会には、指揮者が使用するスコアと、各楽器奏者が演奏するのに使うパート譜という2種の楽譜が必要になります。
今や、この譜面制作もコンピュータによって、かなり効率的に作業ができる環境が整っていますが、それでも全70人ぶんの譜面、全16曲を用意する作業は並大抵ではありません。

弦楽器パートを除いて、同じ譜面はふたつとありません。それぞれの席に座った奏者へは、それぞれ別な譜面を書いています。
それらが同じ時間軸を一緒に進みながら、迷いなく音を出せる譜面を制作する。口でいうのは簡単ですが、行うのは易しくありません。
刷り出した譜面の重量も、大きなジュラルミン・トランク2台分になりました。ぼくの体重と同じぐらいです。

譜面制作自体は地味な作業です。
スコアを書く。譜めくりタイミングの調整をし、ストレスの少ないパート譜を作成する。印刷する。製本する。譜面管理を取り仕切るオーケストラのライブラリアンさんに、疑問が生じないような整理をして渡す。
そこには細やかな神経を使います。

音楽を作る、という作業は、一概に音楽の才能だけで出来上がるものではないと思います。
紙に落とし込んだオタマジャクシは、演奏家の視点から見てどう見えるか?
ステージの照明に反射して見えにくい紙質だったりしないか?
五線紙は、空調の風で揺れて、めくれてしまうような譜面になっていないか?
書き込みをしたりするスペースは確保しているか?
...そういった配慮、相手への思いやりをどこまで想像力を持って行うことができるか?
...これらのことも含め、音楽制作という仕事だと思います。

これらの配慮を持った譜面を作ることができたかどうか?
...は、オーケストラとの初めてのリハーサルで如実にあぶりだされることとなります。

オーケストラの皆さんは、基本的に、譜面を目にし演奏するのは、リハーサルが初めてになります。
プロフェッショナルな初見演奏です。
そこで、なにごともなくスムーズに進めば、我々が意図した配慮が成就することになります。
リハーサルは午後の限られた時間のみ。予定した時間より2時間弱、前倒しでリハーサルを終えられた!
その瞬間が、配慮を持って譜面を制作した、という証になりました。

他人から見たら、妙なこだわりに思えるかもしれません。
でも、リハーサルがスムーズに進行し、譜面に関するクレームが起こらないように、楽しく進行する。
これは、本コンサートに関わる他のセクションの人たち、ハル研究所のスタッフたちにも共通する姿勢だと思います。

ともあれ、こうして無事にコンサートを終えることができ、本当によかったです。
みなさん、ありがとうございました!

最後にもうひとつ。
これは個人的に自分自身へ課していた目標なのですが、コンサートの譜面制作は進めつつも
「ゲーム制作と並行両立させる」
「かと言って残業休日出勤でカバーするようなことはしない」
「コンサート企画がGo!となってから、本番を終えるまでの約1年半、風邪をひいたりして体調を崩さない!」
と決めました。
おかげさまで、達成しました!