ハル研ブログ BLOG

スキルアップ
執筆者:K タグ: デザイナー

ハル研クリエイターの勉強法 デザイナー編

こんにちは!ゲームビジュアルデザイナーのKです。

さて、今回は「日頃の勉強方法」というテーマでブログを担当することになりました。
わたしがデザイナーとして日頃やっている、「デザインを読む」練習について書こうとおもいます。

まずはじめに、ハル研究所のゲームビジュアルデザイナーの担当分野は、明確に分業化されていません。
プロジェクトによって、3D、UI、エフェクト、キャラクターデザイン、背景デザイン、アートワーク、イラストと、多種多様なデザインに携わることができるのです。
実際にわたしも上記のほとんどを経験したのですが、なかでもゲームの広報アートワーク用に本物のねんどをこねてキャラクターを作ったのはとても楽しい思い出です。
ゲームビジュアルという枠にとらわれないところが「ハル研らしいなぁ」と感じます。

そして、ここからが本題です。
バラエティに富んだデザインをするということは、「様々なデザインのコンセプトを理解する必要がある」ということでもあります。
具体的なエピソードを通して説明したいとおもいます。

Nintendo Switch用ソフトとして昨年リリースされた『はたらくUFO』は、ゆたかな色彩や、シンプルでコミカルなドットアートスタイルが特徴的なゲームです。
本作は、以前リリースされたスマホ版『はたらくUFO』に新たな要素を追加したものなのですが、 わたしはその新要素のUIや背景などの一部を前作のデザイナーに代わって担当しました。
このように、すでに完成された世界観に新しい要素をプラスするときなどにも、「デザインを読む」ことが必要になるとわたしは考えています。

たとえば、はたらくUFOのアルバイトステージの背景は、2色程度のメインとなる色+差し色という、絶妙なバランスで構成されています。
その色面積のおおまかなバランスについては、前作デザイナーによって、資料として言語化されていました。
では、そのバランスさえ守れば「はたらくUFOらしい」背景になるかというと、当たり前ですがそういうわけでもありません。
配色によっては全くらしくない感じになってしまうのです!
色は、デザインの直感的な印象を大きく左右するもので、ひとくちに「赤」と言っても、色相、彩度、明度によって印象が変わります。
資料には、それぞれのステージの配色についての説明はありましたが、パレットのレギュレーションが明確に示されているわけではありませんでした。
こんなときに、「デザインを読む」が必要になってくるわけですね。

「ゲーム全体を通して、どんな色のトーンが選ばれているか?」 「彩度や明度は?」 「コントラストはどれくらい?」 「レイアウトで与えようとしている印象は?」
デザインを要素に分解して、ひとつひとつ理解することで、なんとなく感じていた「はたらくUFOらしさ」を構成するかけらが見つかったり、コンセプトの解像度も少しずつ上がってきます。
「デザインを読む」とは、こんな感じのことです。

そうして得た「らしさのかけら」をもとにデザインをしていくわけですが、完成した背景のひとつに「おもちゃや」というものがあります。
ディレクターからのオーダーは、だいたいこんな感じでした。
・閉店後のレトロなおもちゃや
・さみしくない、あたたかい雰囲気
・窓の外は雪が降っていて、電飾がまたたいている

完成デザインの全体の色構成は、クリスマスっぽさを意識しているのも理由のひとつなのですが、窓の外を実際にはありえない色にしています。
個人的には、このあたりも「はたらくUFOらしさのひとつかな?」とおもっている部分です。

たとえば、閉店後ということは夜なので、窓の外を真っ黒で塗るとしたら、電飾のきらめきや夜の雰囲気は強調されますが、なんだか必要以上に冷たくさみしく感じられるかとおもいます。
「あたたかい雰囲気」が表現できなくなってしまうのですね。
それにコントラストが激しすぎて、一気に「はたらくUFOらしさ」がなくなってしまいます。
はたらくUFOでは、デモシーンなどの一部を除き、真っ黒はほとんど使われていない色なのです。
ステージ「げつめん」の黒に見える色も、実はとても暗い青ですし、ステージ「ハイスクール」の空は、元気な印象を与える鮮やかな黄色が選ばれています。
はたらくUFOは、色彩構成が与える印象をとても大事にしている作品だとおもいます。

こんなかんじで、「デザインを読む」ことを普段の生活でもやっていると、いろいろな発見があって面白いです。
たとえば絵を見るときも、「色数を絞っても、塗り面積やアウトラインを工夫してリアルな印象を作りだせるんだ」とか、「この構図は、注目させたい部分を目立たせるためなのかな」などなど…勉強になることがいっぱいあります。
どれも頭ではわかった気がしても、アウトプットするときにすんなり引き出せるわけではないのがはがゆいですが、 試行錯誤の末に、ねらいがうまくまとまったときはとてもうれしいです。
これからもいっぱい学んで、日々のアウトプットに生かしていきたいと思います!

© 2020 HAL Laboratory, Inc. / Nintendo