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執筆者:剣持 タグ: デザイナー

祝配信!『カービィファイターズ2』Vol.3

こんにちは。『カービィファイターズ2』UIデザインディレクターの剣持です。
Nintendo Switchで配信中の今作、すでに遊んでくださっている方は目にされていると思いますが、UIの雰囲気がいつものカービィとちょっと違うと思いませんか?
今回はそんなUIデザインの方向性が決まるまでのお話をしたいと思います。

カービィのメインビジュアルやUIというと、空や宇宙を連想させる「青色」、カービィのおしゃれな「ピンク色」、星の「黄色」、そして幅広い年齢層の方が安心できる爽やかな色合いを連想することが多いと思います。

しかしながら、今作はほのぼのした雰囲気もあるいつもの冒険譚ではありません。パーティゲーム要素はありつつも、血沸き肉躍る格闘ゲームです。このゲーム性にあったデザインを考えるために、UIデザインの試行錯誤を行い、その結果、熱いバトルを連想する「暖色系」をテーマカラーにすることにしました。

前作のニンテンドー3DSソフト『カービィファイターズZ』を知っている方のなかには、前のテーマカラーは「青」だったのに、続編にもかかわらず今作は正反対の色なんだ、と不思議に思われる方もいると思います。今作は前作の続きものというわけではなく、格段に内容がバージョンアップした作品です。それを明確に表すデザインにした方が、ユーザーにとっても分かりやすいだろうという意図もあっての変更でもありました。

ちなみに、カービィシリーズでUIデザインの方向性を決める時は、「ポーズ画面」や「ダイアログ」から着手することが多いです。けれども、今作は格闘ゲームということで、プレイヤーが操作し目にすることの1番多い「キャラクター選択画面」から作り上げていくことにしました。このキャラクター選択画面は、仕様も操作も複雑なものになるため、デザインするうえで悩むところは多々ありました。

キャラクター選択画面を暖色系のデザインで進めようとした時に、私の脳裏に真っ先に浮かんだのは『星のカービィ スターアライズ』のアルティメットチョイスでした。あの画面も熱いバトルを連想させるようなデザインです。ポップな方向性でまとめたら非常に似てしまう可能性があります。画面を構成する要素は似ていても遊び部分は大分違うので、似るのは避けたい……。

また、過去のカービィシリーズでのキャラクター選択画面では、視認性や合理性の面からも、能力やキャラクターのアイコンを選択する形式にしてきました。
しかし、アルティメットチョイスに似ないよう、ポップなデザイン以外を模索したとき、アイコン選択形式だと、下の開発中のデザイン案のように少しクールな見た目になる傾向がありました。今作は格闘ゲームですが、気軽に楽しめるパーティゲーム要素も含むため、見るだけでも楽しく分かりやすい画面にしたいという思いもあり、デザインの模索が続きました。

※画像はUIデザインの方向性がまだ定まっていないときに作成した、キャラクター選択画面のデザイン案の一部です。
©2020 HAL Laboratory, Inc. / Nintendo

これらの紆余曲折を経て、キャラクター全身のアートワークを使用するというデザインに辿り着きましたが、アートワークはサイズや形状も全て異なるため、バランスのよい配置を導きだすのに苦労しました。

また、キャラクターがたくさん置かれることで画面は楽しく華やかにはなったのですが、主張も強いため、同じ画面に置く汎用ボタンは、それに負けない存在感あるデザインにする必要がありました。
より強い存在感を出すために、質感や重量感のあるボタンも検討しました。しかし、そうすると今度は主張が強過ぎて、画面デザインが全体的に重くなってしまうという問題が発生したのです。

汎用ボタンは少しあっさりしたデザインでありつつ、キャラクターに負けないくらい目立たせたい……。
そこで、「選ぶことのできるボタンが常に動いていれば、目立つのではないか」という発想に至りました。
私自身、ゲームを遊ぶのと同じくらいアニメを見ることが大好きで、手描きアニメにはとても感銘を受けており、それを使った演出を何か入れてみたいと常々思っていた、というのもあります。

これらのことから、手描きアニメによる「炎の汎用ボタン」が出来あがりました。そこから手描きアニメの炎とも相性がよく、過去のカービィ作品とも差別化できる墨やオリエンタルな雰囲気を入れていくことで、今作のUIデザインの方向性は決まったのです。
(完成したキャラクター選択画面は、ぜひ配信中のゲームでご覧ください)

このように画面やパーツを1つ作るにも、たくさんの試行錯誤を重ねて、ゲームは作られています。
一方でゲーム作りは制約も多く、もっと手描きアニメを入れたい、演出を強化したいなど、様々な願望はあっても、最終的に実現できないこともあるため、実はプロジェクト終了後は複雑な思いで溢れています。
しかしそんな気持ちも、作品が世に出た時のユーザーのみなさんの反応を知ることで苦労が昇華され、また次により良いゲームをみなさんに届けるために頑張ろう、という気持ちになるのです。

それではみなさん、『カービィファイターズ2』で、熱いバトルをお楽しみください!
そして、キャラクター選択画面やボタンと同じくらい、他の画面も熱意を込めて作りましたので、UIにもぜひご注目を!

〜次回予告〜
次回はディレクターの東藤が登場します。「熱い友情! エモいバトル!」という『カービィファイターズ2』の世界観や、サウンドについての話になるようですよ。みなさん、お楽しみに!