TOPハル研ブログ前川清さんの『初恋 Love in Fall』『それは、ラララ。』を作曲しました

ハル研ブログ

仕事内容前川清さんの『初恋 Love in Fall』『それは、ラララ。』を作曲しました

2018年05月16日:酒井

こんにちは、サウンドクリエイターの酒井です。

今日の「ハル研ブログ」は、いつもとはかなり雰囲気を異にします。
つまり、今回はゲーム音楽の話ではないのです。驚かせてしまったら、ごめんなさい。

このたび、歌手生活50周年を迎えられた日本屈指のソウル・シンガー:前川清さん50周年記念シングルの曲『初恋 Love in Fall』と、カップリング曲の『それは、ラララ。』の作曲を酒井が手がけました。
あえて「日本屈指のソウル・シンガー」と書きましたが、演歌、歌謡曲の範疇に収まりきらない、唯一無二な歌だ!とレコーディングを通じ、感じたので、そのように表現しました。

ご存知のように、酒井の普段の仕事は、ゲーム音楽の作曲です。
99%!歌のない曲を作っています。
かつて、歌詞や声が乗った楽曲の制作も行った経験はありますが、詞が先行し、その詞に則ってメロディを書きあげるという作業は、高校の頃以来のことでした。
そこで、おそらく多くの人が疑問に感じているであろう、「今回の仕事がどのように生まれたか?」をご説明したいと思います。

今年の1月のある日、株式会社ほぼ日の社長で、コピーライターで、MOTHERシリーズの生みの親である糸井重里さんからメールをいただきました。
糸井さんとは、『MOTHER3』で一緒に仕事させていただいてから、親交が続いています。
メールの内容は、「酒井くんは、歌謡曲の作曲に興味ありますか?もし、あるなら、トライしてみませんか」というもの。糸井さんが作られた詞に曲をつける、という仕事のお誘いです。
「よろしくおねがいします」と回答し、詞を受け取りました。

その時点では、「長崎は今日も雨だった」「そして、神戸」「東京砂漠」など、数々のヒットを持つ大御所歌手・前川清さんの数あるうちの1曲を書く、という程度の認識でした。
しかし、打合せで中野サンプラザの楽屋に赴き、話を聞いていくと、『前川清50周年記念シングル』という、やたら大事な節目のシングル曲だということが判明しました。
(畏れ多いぞ!‥‥)と心の中で思いましたが、もう引き下がれません。
しかし、気さくな前川さんは「ぼくのイメージを壊してもらうような曲で構いませんから」とおっしゃってくださる。
(この辺りのことに関しては、酒井は後付けで知ることになるのですが、ほぼ日の連載が、おもしろく読めるかと思います)

打ち合わせを終え、さっそく作曲に取りかかりましたが、第一弾は「なんとか曲になっているけど違うね」、第二弾は「かえって遠くなってしまった」、第三弾は「うん!近づいてきたぞ!」と進展しました。
第三弾の第一稿から、最終的に仕上がるまでに第七稿までを数えました。
やはり、自分で「良いメロディだ」と思っても、前川さんの声が乗ったときに映えるか?・・・そこの見極めは、たいへんに難しい!と思いました。
なぜなら、前川さんの声でメロディを歌っていただく機会は、ボーカル収録本番まで皆無だったため、自分には、なかなか想像がつきません!その見極め・判断には、テイチク・レコードのディレクター近藤さんから、お知恵をたくさん拝借し、なんとか無事に曲を完成させることができました。

ところで、糸井さん、前川さん、近藤さんなど関係者のみなさんが、どのように「この曲でOK!」と判断するのかといいますと・・・酒井が歌ったデモを聴いて判断されているのです。
この、酒井の歌、が、どうしようもなく下手なのですが、何度も何度も稿を重ねるたびに、自分の心臓にも毛が生えて、恥ずかしくなくなってくるのです。

さて、本シングルは、マスタリングも終わり、発売を待つばかりのタイミングで、この原稿を書いています。
自分が書いた曲、いつもは、いったんフィックスすると、なかなか滅多に聴き返すことはないのですが、『初恋 Love in Fall』『それは、ラララ。』は、毎日聴いています。
歌が持つ、圧倒的な表現力に、毎回、我が曲ながらゾワゾワ来ています。

今回、このような機会をいただき、たいへん勉強になりました。
作曲ひとつでも、ゲームの世界から、外へと拡がる世界もある、ということを知っていただけたら、うれしく思います。